鬱の力
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鬱の力
(幻冬舎新書, 088)
幻冬舎, 2008.6
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ウツ ノ チカラ
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Description and Table of Contents
Description
「鬱の気分」が日本を覆っている。「鬱」イコール悪と思われているが、本当にそうだろうか?「鬱」こそ人間の優しさ・内面的豊かさの証であり、治療が必要な「うつ病」とは分けて考えるべきではあるまいか。同じ問題意識を抱いた作家と精神科医が、うつ病の急増、減らない自殺、共同体の崩壊など、日本人が直面する心の問題を徹底的に語りあう。戦後六十年の「躁の時代」を経て、これから迎える一億総ウツ時代に、「鬱」を「明日へのエネルギー」に変える、新しい生き方の提案。
Table of Contents
- はじめに—時代は「鬱」へ向かう(精神科が特別な場所でなくなった;「ちょっと鬱」くらいが正しい生き方;鬱には生命力が秘められている)
- 第1部 鬱は「治す」ものなのか(精神医療の現場で起きていること;「なぜ人を殺してはいけないか」と問われたら;「欝な気分」と「うつ病」は違う;いまの医療の常識が揺らいでいる;代替医療の流行が問いかける問題;泣くこと、悲しむことから力をもらう;最後には神を信じるアメリカ社会;神なき人生のよるべなき不安;死刑は被害者遺族の心を癒すか;哲学もまた「悲哀」から生まれる)
- 第2部 日本社会は劣化したのか(時代の先端に立つ人の心が壊れていく;脳は本当にすべてを支配しているのか;生死に関わることを厭う医師たち;病院をコンビニと同じに考える人たち;見えないアパルトヘイトが進んでいる;逸脱した存在を受け入れる豊かさ;一つの人格だけでは生きていけない;崩壊するコミュニティ、病んでいく心;自殺は単なる「一人の死」ではない;高齢期のメランコリーを乗り越えるために;あらゆるものは変化していく)
- 第3部 「鬱の思想」を生きる(雪は「美」か、「病んだ自然」か;言葉の力がもたらす奇跡;歴史は熱狂と閉塞を繰り返してきた;性のタブーが破られた果てに;時代が鬱だから明るさを求める;人にはなぜ「あの世」が必要なのか;鬱の悲しみは仏さんの悲しみ;「人生は苦である」という出発点)
- おわりに—鬱は力である(文明は鬱のなかで成熟する;自分だけのために生きるのでなく)
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