日本のカーニバル戦争 : 総力戦下の大衆文化1937-1945

書誌事項

日本のカーニバル戦争 : 総力戦下の大衆文化1937-1945

ベンジャミン・ウチヤマ [著] ; 布施由紀子訳

みすず書房, 2022.8

タイトル別名

Japan's carnival war : mass culture on the home front, 1937-1945

日本のカーニバル戦争 : 総力戦下の大衆文化1937-1945

タイトル読み

ニホン ノ カーニバル センソウ : ソウリョク センカ ノ タイシュウ ブンカ 1937 1945

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注記

原著 (Cambridge University Press、2019) の全訳

参照文献: 巻末p9-23

内容説明・目次

内容説明

総動員令が発令されても、「臣民」は息をひそめ、ただ同調したわけではない。統制が厳しくなるにつれ、大衆は無遠慮、不謹慎、価値倒錯的な行動さえとるようになり、メディアもそれを煽ったのだ。日中戦争の従軍記者は、戦場での「百人斬り競争」をこぞって報じ、銃後はその記事に飛びついて、文字通り「消費」した。「スリル」という日本語も、この頃生まれた。20世紀初頭のロシアの文学理論家バフチンは、このような状況を「カーニバル」と呼んだ。社会の通常のルールが一時的に適用されなくなり、既存の階層構造が壊されて平準化する、過渡的な瞬間のことだ。そこでは強者が貶められ、弱者や一癖ある者がコミュニティの「カーニバル王」に祭りあげられる。こうして「カーニバル戦争」は「大衆に、鬱積した不満を吐き出すセラピー効果のある通気口を提供」した。その象徴的な存在として本書が取り上げるのは、(1)「スリル・ハンター」となった従軍記者、(2)高給取りの軍需工場の職工、(3)兵隊(帰還した傷病兵を含む)、(4)映画スター(総力戦のチアリーダーも務めた)、(5)少年航空兵(戦争末期には特攻隊員に)。著者は日本の近現代史を専門とする、アメリカの気鋭の歴史学者。膨大な量の当時の新聞雑誌からの引用(軍国少年の投書や柳屋ポマードの広告まで)を土台とした、「消費者=臣民」の具体的な描写に、読者は魅了されるだろう。

目次

  • 序章
  • 1 従軍記者
  • 2 職工
  • 3 兵隊
  • 4 映画スター
  • 5 少年航空兵
  • 終章

「BOOKデータベース」 より

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